神無月の声を聴けば、山々は錦秋に変わる。 朝晩、すっかり寒くなり、身が引き締まる思いだ。 豊穣の秋を迎えれば、やがて白い季節がやって来る。 自然に四季があるように、人生にも四季があるのかもしれない。 駒ヶ根市東伊那から望む中央アルプスの山並み。 秋は大地を黄金色に染めていく。 ぶどうが実り、梨やりんごが色づき、棗や柿が実る頃、 山ではキノコが背伸びをし、栗やアケビが実り、獣たちは冬支度に忙しいことだろう。 昔ながらに、刈った稲を天日で干す、稲はざが見える。 コンバインで刈り取り、機械で乾燥するより美味しいという。 河岸段丘のグリーンベルトの先には、駒ヶ根市の市街地が見える。 手前の畑に植えられている農作物は、特産の蒟蒻(こんにゃく)芋だ。 天竜川の河川敷が、ススキに揺れていた。 清らかな流れの背音を聞きながら、秋の陽の光の中で、 緩やかに、涼やかに、爽やかに、まるで歌うように揺れていた。 大合唱を歌うススキたちの姿は、いつまでも見飽きる事はなかった。 休耕田に植えられた蕎麦が満開になった。 畑いちめんが白く輝く様は、まだら模様に雪が降ったよう。 近づけば、無数に咲く小さな白い花、花、花・・・・。 大地を緑に変えたり、黄金色に変えたり、はたまた純白に変える、自然は魔術師だ。 10月5日、中央高速道路の駒ケ岳サービスエリアで太鼓を打った。 高速道路SAの地域交流イベントに呼ばれたのだ。 上伊那観光連盟、駒ヶ根青年海外協力隊訓練所が参加した。 人手不足と練習不足は否めないが、しばし旅行者の足を止めさせた。 ばちの先に目をやれば、真青な秋の空に幾筋もの飛行機雲が浮かんでいた。more 千畳敷カールも紅葉真っ盛り。 快晴の日を浴びて、ロープウェイの赤い鉄塔が見える。 豊穣の神々は天空に近いところから一歩一歩下りてくる。 翌10月6日、中央アルプスも南アルプスも、初雪を観測したという。 10月16日の早朝。朝日に照らし出された中央アルプス。 紅葉がかなり進んでいる。 今年は夏が冷夏で、9月は残照が厳しく、 更に紅葉が始まってから寒波が押し寄せた為、落葉が早まったと伝えられている。 駒ヶ根高原の朝、駒が池に映る中央アルプス。 桜や楓が紅葉し、白樺の葉も色づき始めた。 水の中の青い空は、より青く、神秘的な色に染まっていた。more 時折、鳥のさえずりが聞こえ、落ち葉の香りが芳しく、五感をフルに使って、しばし秋を抱きしめた。 通勤途中に見る赤い蕎麦の畑。 蕎麦の名前は「高嶺ルビー」。 開花し始めてから日に日に赤みを増してきた。 春はれんげ草の赤い田圃、秋は赤蕎麦の赤い田圃。 田圃いちめんを彩る花々は、景観を美しく整え、見る人々に安らぎを与えてくれる。
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